.「メモとは、忘れるためにするんや」(ダイエー創業者・中内功)

最近もまた、古本集めに凝っていますが、その中でも今月中に全冊揃えようと思っているのが、祥伝社が「ノンブック」ブランドで出している『知的サラリーマンシリーズ』です。

六十~七十年代の高度成長期を支えた各業界の社員たちに最も人気のあった作家や評論家が、ビジネスマンなら誰もが興味を持つテーマで書いた全十五冊のシリーズで、僕は今、うち四冊を持っています。どれもこれも興味深く、味のある作品揃いなので、これはぜひ、全巻揃えなければ、と思い立ちました。

さて、そのシリーズ三巻は、テレビでもお馴染みの竹村健一さんが書いた『80年代、時間の読み方』です。

竹村さんの先見性と洞察は大変参考になり、僕も興味のあるテーマの本ならほとんど読みましたが、この本では、各業界のトップビジネスマンやリーダーの「時間に対する考え方」を分かりやすく紹介しており、邱永漢さんの「野心家の時間割」(PHP文庫)に匹敵するほど、読む価値があると感じました。

竹村さんは第二章『複線型の時間活用法』の中で、「メモ」の効用や基本的位置付けを説明しており、大変気付きの多い内容ですが、その中で、先月亡くなられたダイエー創業者・中内功さんの言葉を紹介しています。それが今日の一言です。

普通、メモといえば、「覚えるため」、あるいは「忘れないため」にするものだと思われていますが、中内さんはじめ、各業界の創業者やトップビジネスマンは、全く考え方が逆。

メモの目的は、「忘れるため」というのですから。しかしそれは、本当に用事や発想を忘れてしまうことではなく、「必要な時に思い出せるよう記録したら、頭から消し去ってしまう」という効用を説いているのです。

中内さんは、「わしは自他ともに認めるメモ魔や。メモしたらさっぱり忘れ、また頭をカラにするわけや。そしたら素直な気持ちになれて、どんどん新しいことを思いつくことができるやないか。メモってのは、忘れるためにするもんやで」と言っています。

雑念やヤボ用に頭を占領され、さっきのことが整理されないまま、次のことにもいまいち気が乗らない…という経験は、誰にでもあるでしょう。そんな時、「忘れるため」というメモの効用が威力を発揮します。

それは今することか?

今は、何が分かればよいのか?

本来、今日すべきことは?

と自らに問い掛けた時、自然と必要かつ十分なメモが取れるはず。考えたいことに時間とエネルギーを向け、自分の用事に必要な集中をもたらすため、メモを通じて忘れる技術を鍛えましょう。

しかし、こう考えてみると、ウィンドウズというのは、人間の頭と全く同じ機能を、実によく配備したものだと、改めて感心しますね。

 





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